薬治について

このページでは私たちの研究について紹介しています

分野紹介

 大学院医歯薬学総合研究科生命薬科学専攻臨床薬学講座の一つである「薬物治療学」では,薬剤師免許を有する博士前期課程および後期課程の大学院生の講義,臨床実習および研究指導を担当します。

 著しく進歩を遂げる臨床医学に対応できる質の高い臨床薬剤師の養成とともに,学位論文のために基礎的,臨床的およびトランスレーショナルな研究を指導します。
 臨床薬剤師になっても研究で修得した科学の視点で臨床の現場を見つめ,そして問題解決ができる思考法を身につけてもらいます。

 教員の塚元教授と近藤准教授は医学部出身の内科医および形成外科医で,それぞれ実際の臨床の場でも活動しています。平成28年度は博士後期課程1名の大学院生と薬学部6年生6名と5年生5名と4年生5名の研究室です。

 本研究室では,所属の大学院生や学部学生に対して,当研究室での研究に加えて,臨床を知る医師である教員とのディスカッションを通して実際の医療現場を実感してもらえるように努力しています。

研究の概要

1.さまざまな多因子疾患の感受性遺伝子の同定

 病気になりやすいヒトとなりにくいヒト,あるいは病気になって重症化しやすいヒトとそうでないヒトがいます。これらのヒト(体質)の違いは遺伝子の違いに起因します。この遺伝子の違いを見つけています。違いのあった遺伝子をその疾患の感受性遺伝子といいます。感受性遺伝子が同定されると,遺伝子診断に応用したり,その疾患の病態解明につながり,そしてこの感受性遺伝子を標的とした新しい治療薬の開発に繋がります。

2.薬剤応答性 (抵抗性), および副作用感受性遺伝子の同定

 ある治療薬が効きやすいヒトと効きにくいヒト,第一選択薬が効きやすいヒトと第二選択薬が効きやすいヒト,あるいは副作用が出やすいヒトとそうでないヒトがいます。これらも体質の一つであり,遺伝子で規定されています。このような体質に関連する遺伝子(薬剤応答性や副作用感受性遺伝子)を同定して遺伝子診断に応用します。

3.薬物治療の判断材料となる遺伝子診断の確率

 1と2で明らかにした体質に関連する遺伝子を用いて遺伝子診断を行います。これによって副作用のない,そして治療効果の高い治療薬を選択する判断材料を提供できます。これは個別化医療(テーラーメイド医療)の実現に繋がります。

4.抗がん剤の薬剤耐性の分子機構の解明と克服剤の開発

 抗がん剤の耐性機序の分子生物学的解明とその機序に対抗する克服剤を開発しています。これにより既存の抗がん剤と克服剤を併用することで更なる治療効果の向上が期待されます。また,新たな薬剤耐性の機序が判明すると,この機序を回避した,つまり薬剤耐性を起こしにくい新しい抗がん剤の開発に繋がります。

5.ヒト先天性疾患の原因遺伝子単離と機能解析

 口唇口蓋裂を来す疾患である Van der Woude Syndrome, Popliteal Pterygium Syndromeの原因遺伝子IRF6を中心とした種々の遺伝子の分子遺伝学的研究および、その他の遺伝性疾患の遺伝医学的研究を行っています。

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